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~大人のための官能童話集~
第2章 一幕‥赤ずきんちゃん◆
 

「おい、酒……酒持ってこい」

「ちょっと……あなた、いい加減に」

「早く持ってこいって言ってんだろ?!」

「キャッ?!!」


テーブルの上の物全てを父がなぎ倒し、ガチャガチャと耳障りな音を立てて食器などが割れる。




――こうなってしまった経緯は簡単だ。

ニーナが16を迎えたつい最近のこと。

最近の世情や経済の圧迫から、街に出ていた父の仕事が突然クビとなってしまったのだ。

職を無くし、用無しとなってしまった父は荒れるようになり、酒ばかりを煽る毎日。


「お父さん……」


ニーナが扉の隙間から覗き見た先では、顔を真っ赤にした父を母が宥めすかしている。

それが日常の光景となりつつあった。

『目を覚まして』とニーナは父に何度か訴えかけたが、耳を傾けてくれない。

それどころか、暴力を振るわれた時もある。

だから、暮らしていく上での収入は0に等しい。


「……もう行かなきゃ」


父の収入が見込めない以上、誰かが働かなくては食べていけない。

だから、ニーナもまた村の中で細々と仕事をこなしていた。

当然それだけでは足らず、母親も街へと働きに出ている。

 
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