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~大人のための官能童話集~
第2章 一幕‥赤ずきんちゃん◆
 

「お願いです……どうか、どうかそれだけはお許し下さい」


未だ気だるい体を床に下ろし、恥も外聞も捨てて土下座をする。

自分が汚されるのはまだいい。

嫌でも堪えていれば、いずれは終わるのだから。

けれど、娘は。

大切な娘にだけは……こんな目になど遭わせたくない。

しかし無情にも、男達の返事は一貫していた。


「……そうか。なら次の約束の晩、娘を連れてこないなら……どうなるか分かってるんだろうな?」

「……っ」


金を寄越す中心人物のその一人。

その男は、夫が酒代の為に金を借りた金融店の責任者でもあった。

つまり逆らえば金を貰えないのは当然のこと、更にはただ事では済まなくなるのは目に見えていた。

つまりは、選択肢など始めから無い。

従う他に方法などありはしなかった。


「は、い……」

「分かればいいんだ。その言葉、忘れるなよ?」


踵を返した男達が去っていく。

パタンと最後の一人が出て閉じられる扉。


「あの子を……ニーナだけでも……」


唇からポツリと漏れる呟き。

手にした札束をくしゃりと握り潰し、母親は密かに決意を固めていた。



 To be continue...
 
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