この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
~大人のための官能童話集~
第2章 一幕‥赤ずきんちゃん◆
「お願いです……どうか、どうかそれだけはお許し下さい」
未だ気だるい体を床に下ろし、恥も外聞も捨てて土下座をする。
自分が汚されるのはまだいい。
嫌でも堪えていれば、いずれは終わるのだから。
けれど、娘は。
大切な娘にだけは……こんな目になど遭わせたくない。
しかし無情にも、男達の返事は一貫していた。
「……そうか。なら次の約束の晩、娘を連れてこないなら……どうなるか分かってるんだろうな?」
「……っ」
金を寄越す中心人物のその一人。
その男は、夫が酒代の為に金を借りた金融店の責任者でもあった。
つまり逆らえば金を貰えないのは当然のこと、更にはただ事では済まなくなるのは目に見えていた。
つまりは、選択肢など始めから無い。
従う他に方法などありはしなかった。
「は、い……」
「分かればいいんだ。その言葉、忘れるなよ?」
踵を返した男達が去っていく。
パタンと最後の一人が出て閉じられる扉。
「あの子を……ニーナだけでも……」
唇からポツリと漏れる呟き。
手にした札束をくしゃりと握り潰し、母親は密かに決意を固めていた。
To be continue...