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~大人のための官能童話集~
第1章 序幕‥赤ずきんちゃん
幼い頃というのは無知で、好奇心旺盛で。
恐れを知らない。
「あれ? ここは……どこ?」
ザッ…ザッ…
茶色い革のブーツで踏みしめる葉の音が、ニーナの足元で響き渡る。
蝶々を追いかける内に、どうやら森の奥深くまで足を踏み入れてしまったらしい。
赤ずきんを頭から被り、見渡す限りの森の深さに少女はオロオロするばかりだ。
「どうしよう……あっちだったかな? ううん……こっち…だったかも……」
来た道を戻ろうとするが、右を見ても左を見ても同じように見える。
頭上ではそんなニーナを笑うように、ザワザワと木々が揺れていた。
「……っ、ひ……っく、……おとうさ…ん、お母さ……っ」
まだ幼い少女にはどうすることも出来ず、とうとう泣き出してしまう。
その場でうずくまり嗚咽を漏らしながら、父と母の名を呼ぶ。