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~大人のための官能童話集~
第1章 序幕‥赤ずきんちゃん
しかし、当然返事は無い。
あるのは木々のざわめきと、鳥の鳴き声だけ。
ガサッ…
「……!!」
そこへ割って入ってくる異質の音。
草木を踏みしめ、何者かが近づいてくる気配にニーナは我に返り、顔を上げる。
「だれ? 誰かそこに、いるの…??」
もしかしたら、居なくなった自分を探して父と母が来てくれたのかもしれない。
そんな淡い期待を抱き、ニーナは茂みの奥へ呼び掛ける。
「…………」
だが、返事は返ってこない。
けれど、確かにそこに。
生き物の気配がするのだ。
「お父さん…? お母さん…?」
“何者か”がいるであろう茂みに、ニーナは立ち上がりそっと近づいていく。
「……ねぇ? あなたは、だれ?」
そう言ってもう一歩踏み出した時。
「あっ…?!」
足元にあった太い枝に気付かず、つまずいたニーナはその場で転けてしまう。
「! 危ない…!」