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~大人のための官能童話集~
第3章 二幕‥赤ずきんちゃん
 

「……ッくそ」


もっと早く。風の如く。

足を前に出しては、肺が苦しくなるのも構わず走り続ける。


ドクン、ドクン。


忙しなく鼓動を刻む心臓。

止まらない胸騒ぎ。


(あぁ……やはり、俺は、)


森の中を必死に駆け出しながら、ニーナが他の男に汚されるかもしれない現状に追いつめられて、初めて。

シルヴァは思い知らされる。



彼女の幸せを願いながら。

一目見れるだけで満足だと、頭の中で言い聞かせながら。

本音を口にすれば、そんな気持ちは端から嘘だったのだ。

本当は――――


(他の男になんて、触れさせたくない。俺だけのモノにしたい)


あの可憐な少女が他の男に抱かれる姿など、想像したくもない。

ましてや、その相手が荒くれ者など。

許せない。

じわじわと溢れ出す、独占欲にも似たニーナへの想い。


(俺は……ニーナを誰にも渡したくない……!)


強く強く、実感する。

己はニーナに……惹かれているのだと。


そんな考えを巡らせていた刹那。

シルヴァの視界に、ニーナがいるであろう古びた小屋が目に入ってきたのだった。



 To be continue...

 
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