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~大人のための官能童話集~
第3章 二幕‥赤ずきんちゃん
もし、本当にそんな日が訪れたら。
その時は。
密やかに暖かく、ニーナを送り出してやろう。
……そう、思っていたのに。
「はぁ…はぁ…まさか、こんなことになっているなんてな」
今日も年に一度だけの特別な日。
ニーナを一目見たら、さっさと森へ帰ろうと考えながらシルヴァは村を訪れた。
――だが、家の中にニーナの姿は無く。
代わりに中ではニーナの母親の姿があり、なにやら屈強な男どもと揉めている現場に出くわした、という訳だ。
次いで人よりも機能が発達した耳を澄ませてみれば、その会話内容は聞くに堪えられない内容で……
挙げ句の果てには、母親が森へニーナを逃がしたのが仇となり、空き家で待ち伏せしている荒くれ者がいると言う。
出来るなら、一刻も早くニーナがいるであろう森へ向かいたかった。
しかし、ニーナの両親なのだ。
それを見殺しにしようものなら、きっと彼女は傷つくだろう。
だからこそ、あの場へ勢いのまま飛び込んだシルヴァだったが……両親の一件は落ち着いた今。
やはりニーナのことを思うと気が気ではない。