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~大人のための官能童話集~
第4章 三幕‥赤ずきんちゃん◆
「この辺……かしら」
母から手渡された地図を頼りに、ニーナはだいぶ森の奥深くまでやって来た。
道中には美しい花畑や、静かなせせらぎが聞こえる川辺があり、渇いた喉をそこで潤わせながらなんとか目的の場所付近までたどり着いた。
『いい? 目印は三本の大きなぶなの木の下よ』
母から祖母の家までの地図を渡された時、教えられた目印。
「――あ、もしかして……あの木かしら」
幾重にも連なる木々の中で、一際大きくそびえ立つぶなの木。
それが囲むように三本並ぶ真ん中に。
古びた小屋が、ぽつんと一件だけ建っていた。
「……でも、変ね。人が住んでいるという割には、どうも荒れ果てているような……」
小屋の周りには雑草が生い茂り、壁は雨風に晒されたのだろうか。
ところどころ剥げており、手直しもされない状態で放置されていた。
しかし母から聞いた話では……祖母はだいぶ体が弱っていると、そう言っていたのだ。
きっと立ち上がるのもままならない状態なのだろうから、手直しなど出来るはずも無いだろう。
「……そんなことより、早くこの差し入れを渡さなくちゃ」