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~大人のための官能童話集~
第5章 四幕‥赤ずきんちゃん◆
ザッザッザッ……。
落ち葉を踏み鳴らす足音が規則的に続き、シルヴァの腕に抱き上げられたニーナの体が揺れる。
(あれから……どれくらい経ったのかしら……?)
小屋は遠ざかり、木々の合間に隠れて見えなくなった今。
先程まで居た場所から、だいぶ離れたのは確かだ。
頭上を見上げれば、青々とした木々の隙間から眩しいほどのオレンジ色の光が降り注ぐ。
しかし、陽が傾くのは早い。
だというのに、シルヴァはどんどん森の奥地へと足を踏み入れて行く。
(一体、どこまで行くのかしら……)
そもそも、この先に家などあっただろうか。
ニーナもそこまで森に詳しい訳ではないが……自分が知る限り家と呼べそうな建物は先程の小屋以外に思いつかない。
……と、ニーナが小首を傾げそうになった瞬間。
「……俺の家はあそこだ」
前方に視線を向けたシルヴァが、顎でどこぞを指し示す。
言われてニーナも動かせる範囲で顔を上げ、目の前の光景に圧倒された。
「わぁ……大きい」