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~大人のための官能童話集~
第5章 四幕‥赤ずきんちゃん◆
 

天まで届きそうなほど一際高く、他の木と比べて明らかに年輪の太さや枝葉の広がりが違う大樹。

どっしりと佇むその下にはぽっかりと開いた洞穴があり、手製らしき扉がこしらえてある。

どうやら、“ここ”がシルヴァの家のようだ。


「……そういえば、体の調子はどうだ?」

「あ……うん。大丈夫。体の感覚も少しずつ戻ってきたわ」

「そうか」


『なら、良かった』

そう言って、安堵の表情を浮かべつつシルヴァは大樹の下へと足を運んでいく。


(でも……)


シルヴァには心配を掛けたくない一心で咄嗟に笑顔を見せたニーナだったが、拭い去れない違和感も抱いていた。

薬の効果が薄れているのは間違いないだろう。

――だが、体の痺れが解けていくと同時に。

何故か体の火照りは増していくばかりだった。


「はぁ……あ」

「……?」


扉を足で器用に開きながら、ニーナの異変にシルヴァも気づく。


(妙に息が荒いな……それに、体温も)


服越しに感じるニーナの肌は熱い。

もしや、風邪でも引いて熱を出したのかも知れない。

あんな埃っぽい部屋で、ましてや裸で横たわっていたのだ。

体調を崩しても何らおかしくはない。

 
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