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堕ちても
第2章 カマキリ
 
 
わたしは一度、殺されかけた。

高校のとき―――。

わたしが浮気したって、

彼氏が勝手にキレて、罵詈雑言を並べ立て―――

吐くだけ吐いて。殴って。いたぶって。


そして、捨てた。


それでも、次の日にはけろっとなって甘えてきた。

それが、たまらなく快感だったときもあった。

でも、やっぱり、コワかった。

コワいし、せつないし、くやしいし。

それからわたしは、男が気持ち悪くなった。


一生、独身でもいいと思った。

本にさえ、囲まれていれば。



右上の棚の、上段の本は、すべて読んだ。

そのひとつひとつを思い出しながら、わたしははたきでほこりを払う。



すると、そのとき。


 
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