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バックヤードの誘惑
第3章 だって・・



家に帰りついたのは10時近かったが、

まだ夫の伸彦は帰宅していなかった。


・・まだ帰ってない。よかった・・


この体から

和樹の名残を洗い流しておかなければ・・

美佐江はシャワーを浴びた。


湯気の中に浮かぶ自分の体が鏡に映ると、

なんとなく涙が出てきた。

その裏側で、

思い出すとズキンと脈打つ体が喜んでいた。

和樹に含まれた乳房・・

彼の指にかき回された大切な部分・・

自分の手で確認するたびに

脈は大きくなる。

和樹とのキスも体を熱らす。

間近で見る彼の顔は色香にあふれていた。

唇を指でなぞりながら、また彼に誘われたら・・

夫を裏切ることへの罪悪感を抱く反面で

多少の期待を膨らませる自分が恥ずかしくもあり

正直でもあると思った。



11時をまわってから伸彦が帰ってきた。

用意していた食事に手をつけないまま

風呂に入る伸彦をベッドで待った。


もし・・今夜求められたらどうしよう・・


さっきの今じゃ、変化に気づかれてしまう・・

だがそんな心配はただただ無駄に終わった。


いつものようにダブルベッドの端っこに彼は身を横たえた。

体を丸くし、背中は私に向けて。

夫の背中を見ながら、

そこに和樹との交わりを映し出して、

冷えた体に熱を取り戻そうとした。

徐々に体があったまってきて・・

眠りの沼に落ちていった。
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