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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第20章 《巻の弐―予期せぬ客人―》
 それどころか、融通の利く性格といった方が良いだろう。若い腰元たちは河嶋を随分と怖れているようだが、泉水は河嶋が気難しげな外見どおりの人間ではないと知っているゆえ、怖くはない。むしろ、泰雅を育てた人として感謝と尊敬に近い念を抱いていた。
「一輪の花でも、少しは華やかになろう」
 泉水はそう言うと、庭に降りて手ずから摘んだ紫陽花の花を差し出した。
 徳川光利と対面した庭に咲いていた純白の紫陽花である。
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