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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第3章 《巻の弐―運命の悪戯―》
泰雅の母景容院は、先代、つまり泰雅の父泰久の逝去と同時に屋敷を出て、現在は別邸で起居している。この景容院こそが現将軍の異母妹を母に持つ高貴な血筋であった。ちなみに、景容院は前老中水野(みずの)大膳(だいぜん)の娘であり、大膳の内室が将軍家の妹に当たる。
本来ならば、泰雅と泉水が褥を共にするはずの寝所も奥にある。もっとも、現在、泰雅の奥方の泉水の許へのお渡りは一切ないゆえ、夫婦の寝所は全く無用ではあったが。