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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第3章 《巻の弐―運命の悪戯―》
まるで猟師に追い詰められた野兎のようにひたすら怯え、この男から逃れることだけしか頭になかった、
「止めて、お願いだから、放して」
泉水は怯えを宿した眼で男を見上げた。
「俺はこの屋敷の主だ。そなたはこの屋敷内に仕える女中なのであろう? この屋敷内にあるものはすべて俺のもの。それは仕える者とて同じことなのだぞ。俺がそなたを欲しいと望めば、そなたは俺の意には逆らえぬ」
泉水は絶望的な想いで男を見た。