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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第24章 《巻の弐―夢を売る男―》
 だが、どうも、この絵はそういった泉水自身の未来を意味するものではないように思えてならない。些末なことだが、榊原の屋敷の庭は広く、四季折々の樹や花が植わってはいるけれど、どこを探しても藤の花はないのだ。泉水がこの絵が自分の将来とは直接には拘わりはないと判断したのは、我が身の勘と藤の花が屋敷の庭にないという二つの理由からだった。これは単純だが、重要な決め手のように思われた。
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