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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第24章 《巻の弐―夢を売る男―》
 確かに心温まる風景に他ならなかったけれど、泉水は何かこの絵に胸騒ぎを憶えずにはいられなかった。それに、何より、この絵の中の女の子の顔には見憶えがあるような―。かといって、では、いつ、どこで逢ったのかと問われれば、はきとは応えられないのだが。
 では、何故、この幸せそのものの親子の絵を見て、不吉な胸騒ぎを感じるのか。その理由さえ判らない。どうも、あの夢五郎という不思議な男に出逢ってから、すべてが調子が狂ってしまったようだ。夢五郎と名乗ってはいたけれど、恐らくは真の名ではあるまい。
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