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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第24章 《巻の弐―夢を売る男―》
そう、この子は、この泣いている女の子こそが泉水の夢の中に夜毎現れた子どもだった。夢の中で女の子はけして顔を上げず、ただ泣いているだけであった。ゆえに、その子の顔を見たわけではない。ないが、雰囲気、年恰好、更に身に纏う着物などには確かに見憶えがある。まさしく、あの夢の中で見続け、今や現実に見たにも劣らないほど鮮烈な記憶と化したものばかりだ。
間違いない、この子は、あの夢の中の子どもだ。泉水はそう確信した。