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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第24章 《巻の弐―夢を売る男―》
 おつやは嬉しげに笑って、今度は躊躇なく手を伸ばし、桜餅を掴んだ。ひと口食べ、大きな眼を零れんばかりに見開く。
「どうしたの?」
 泉水が少し心配になって訊ねると、おつやが満面の笑顔で応えた。
「美味しい!」
 泉水はその無邪気な表情と声に、思わず微笑んだ。幼い子どもとこうして刻を過ごすだけで、むすぼれている心が自然とほどけてゆくようだ。
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