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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第25章 《巻の参―真(まこと)―》
「そんなの嫌だよ。忘れられるわけなんて、ないじゃない。おっかさんに逢えるまでは、あたしは絶対に忘れられないよ? おっかさんがあたしを捨てたりしたんじゃないって、おっかさんの口から聞くまでは、どこにも行きたくなんかない」
「―おつやちゃん」
泉水はハッとした。もしや、おつやはもうすべてを察しているのではないか。
それでも、母を信じようとし、一縷の儚い希望に縋ろうとしている。その心根が哀れだった。