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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第25章 《巻の参―真(まこと)―》
―どこのどなたかは存じませんが、あの子には、あの子の母親はもう死んだと、伝えて下さい。あの日、二年前に家を出た時、おはるという女は死にました。私は、あの子の母であるという自分を自分で殺したんです。あなたは、おもんちゃんから私のことをお聞きになったって言ってたから、家を出た時、私が辰平の子を身ごもっていたという話もお聞きになったでしょう? 家を出て、おつやを捨ててまで、生まれてくる子、惚れた男と三人で暮らそうとしていたのに、お腹にいた赤ン坊は死んじまったんですよ。六月(むつき)に入ったところでしたかね、流れちまいました。