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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第4章 《参の巻―囚われた蝶―》
泉水は走る。白い芍薬が咲き乱れる花の海の中を一心にひた走る。ふいに一匹の蝶がひらひらと眼の前をよぎる。泉水はその美しき蝶にいざなわれるように走った。蝶は戯れるように花々の間を飛び、また泉水の前に戻ってくる。美しい模様の描かれた羽をせわしなく動かしながら、泉水を導くかのごとく飛ぶ。
と、突如として、蝶が消えた。
いや、捕らえられたのだ。
緑の葉を茂らせた樹の下に立つ男の手に蝶は捕らえられていた。男が蝶をひと握りすると、蝶は無惨にもグニャリと潰れた。
と、突如として、蝶が消えた。
いや、捕らえられたのだ。
緑の葉を茂らせた樹の下に立つ男の手に蝶は捕らえられていた。男が蝶をひと握りすると、蝶は無惨にもグニャリと潰れた。