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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第4章 《参の巻―囚われた蝶―》
 男が凄惨な笑みを刻み、泉水を見据えてくる。男は自らがひねり潰した蝶を口にくわえた。なまじ美しいだけに、その姿は凄絶でさえある。
―泰雅さま、お気でも狂われましたか?
 そう叫ぼうとして、泉水は言葉を失う。
 泰雅の貌が醜く歪んでいた。
 口は耳まで避け、その大きな口で屠った蝶を喰らっている。蝶の喰らわれる耳障りな音まで聞こえてくるようで―、泉水は思わず両手で耳を塞いだ。
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