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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第29章 《巻の壱―すれちがい―》
「お前は誰のものだ、申してみろ、おい、泉水」
 言うことをきかぬ子どもに言い聞かせるように、泰雅が泉水の腕を握る手に力を徐々に込めながら問いかける。
「い、痛―。殿、腕が」
 このままでは、泉水の華奢な腕なぞすぐに折れてしまうだろう。烈しい痛みに泉水がまた、悲鳴を上げた時、襖が開いた。
「お方さま?」
 泉水の乳母時橋が蒼白な顔で立っていた。
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