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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第29章 《巻の壱―すれちがい―》
「お方さまッ!?」
 時橋は悲鳴とも絶叫ともつかぬ声を上げ、女主人に駆け寄った。
「殿、お方さまに一体何をなさるおつもりでございますか?」
「そなたを呼んだ憶えはない。無礼な、下がれッ」
 泰雅が癇性に叫ぶ。
 だが、時橋は自らを楯にして泉水を庇うように、その前にうずくまり、平伏した。
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