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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第29章 《巻の壱―すれちがい―》
「殿、どうか今宵だけはお許し下さりませ。お方さまは、今日は朝からずっと本当にご気分が優れないでいらっしゃるのです。ですから、どうか今宵だけは」
 時橋が額を畳にこすりつけんばかりにして言上する。
「フン、果たして、それが真のことかな? 一昨日までは月の障りとか申して数日間夜伽を務めず、やっと終わったと思えば、今度は頭痛だと? 
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