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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第29章 《巻の壱―すれちがい―》
泉水は白い指先で眼尻の涙をぬぐった。時橋でさえ、ハッとするほどの色香のあるその仕草は、人眼を引くには十分なほど艶めいていた。
泉水は、もうどこから見ても立派な大人の女人であった。
泉水には不本意だろうが、かつての〝お転婆姫〟は泰雅という男の手によって、匂いやかな大輪の花を開かせたのだ。瑞々しく匂いやかな娘盛りの美しさは男の心を惹き付けずにはいないだろうし、泰雅は泉水の豊満な身体に強い執着を抱いている。