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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第29章 《巻の壱―すれちがい―》
 叶うものならば、これほどまでに嫌がるものを無理に夜伽をさせたくはなかったけれど、哀しいかな一使用人にすぎぬ乳母の分際でそこまで差し出た口出しはできない。口惜しいが、黙って見ているしかない時橋であった。
 その夜は、泉水にとっては辛いものになった。逢わなかった三日間の鬱憤を晴らすかのごとく、荒々しく容赦ない愛撫に、泉水は怯えた。
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