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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第30章 《巻の弐―決別―》
 十月も半ばを過ぎた夜更けの夜気が膚にひんやりとまとわりつく。その冷たさは泉水の膚を通して身体中にしみ渡り、芯まで凍えさせた。身体は情事の後のけだるさでまだ火照っていたが、心は裏腹に、しんと冷めていた。
 心が寒い。誰でも良い、この冷え切った身体と心を温めてくれる人が欲しい。
 泉水は無意識の中に立ち上がっていた。どこへと行く当てもなく、ただ歩いていた。
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