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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第30章 《巻の弐―決別―》
既に新しい家庭を持ち、泉水とは別の世界で生きている父に余計な荷物を背負わせたくはなかった。つまり、生まれ育った家には最早、泉水の帰る場所はないということだ。
むろん、元は父に仕えていた腰元であった深雪の方は心映えも良く、気性も優しい女だ。歳は二十三歳と義理とはいえ母娘というよりは、姉妹といった方が良い間柄だが、もし仮に泉水が離縁して実家に戻ったとしても、深雪の方ならば快く迎え入れてくれるに相違ない。父が選んだのは、そういう女であった。
むろん、元は父に仕えていた腰元であった深雪の方は心映えも良く、気性も優しい女だ。歳は二十三歳と義理とはいえ母娘というよりは、姉妹といった方が良い間柄だが、もし仮に泉水が離縁して実家に戻ったとしても、深雪の方ならば快く迎え入れてくれるに相違ない。父が選んだのは、そういう女であった。