この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第30章 《巻の弐―決別―》
許婚者の堀田祐次郎に先立たれて以来、婚約した相手の男を取り殺す物の怪憑きの姫と心ない噂が広まり、父はいたく心を痛めていた。当の泉水はそんなことなどちっとも気にしてはいないのに、父はたった一人の娘のゆく末を心から憂えていたのだ。
それがやっと前(さき)の公方さまのお計らいで泉水の縁談が整い、娘は晴れて大身の直参旗本榊原家に輿入れすることになった。娘を無事に嫁がせた上で、源太夫はその年の秋に側室であった深雪と正式な祝言を挙げたのである。
それがやっと前(さき)の公方さまのお計らいで泉水の縁談が整い、娘は晴れて大身の直参旗本榊原家に輿入れすることになった。娘を無事に嫁がせた上で、源太夫はその年の秋に側室であった深雪と正式な祝言を挙げたのである。