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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第31章 《巻の参―新しい生活―》
泉水が手短に事情を話すと、篤次は親切に村へ行く道順を教え、わざわざ自分も引き返して村の入り口にもなる螢ヶ池まで案内してくれた。螢ヶ池にはその時、薄紅色の睡蓮が小さな池の面を埋め尽くすように群れ咲き、秋の夕風にかすかに揺れていた。
その群生する睡蓮の池の上を夕陽の色に染まった赤蜻蛉(とんぼ)が戯れ飛んでいる。蜜色の光を浴び、小さな辻堂が池の汀にひっそりと佇んでいた。まるで一幅の絵のように美しい、茜色に染まった情景が鮮烈な記憶となって残った。
その群生する睡蓮の池の上を夕陽の色に染まった赤蜻蛉(とんぼ)が戯れ飛んでいる。蜜色の光を浴び、小さな辻堂が池の汀にひっそりと佇んでいた。まるで一幅の絵のように美しい、茜色に染まった情景が鮮烈な記憶となって残った。