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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第31章 《巻の参―新しい生活―》
二人の間には最早、決定的な溝ができていたはずだ。だが、そのときですら、泉水は男に惚れていた。自分を陵辱する男を憎み切れなかった。男への思慕を抱えたまま、それでも一緒にはいられないと思い、屋敷を出た。
それは一見、矛盾しているかのようだけれど、泉水は本気で泰雅を想っている。想っているのに、受け入れられない。触れられると、逃げ出したくなる。泰雅はその泉水の心を敏感に察知し、苛立つ。そして余計に泉水を責め苛むのだ。そんな悪循環の繰り返しだった。
それは一見、矛盾しているかのようだけれど、泉水は本気で泰雅を想っている。想っているのに、受け入れられない。触れられると、逃げ出したくなる。泰雅はその泉水の心を敏感に察知し、苛立つ。そして余計に泉水を責め苛むのだ。そんな悪循環の繰り返しだった。