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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第31章 《巻の参―新しい生活―》
泉水が屋敷を飛び出したことで、泰雅はさぞ憤ったことだろう。殺してやりたいと、憎まれているかもしれない。
それでも、こんな状況になってさえ、泉水は愛する男のために祈らずにはおれなかった。どうか、あの男(ひと)の心が傷つかず、壊れることなく、安らかでありますようにと願わずにはいられない。
今の泉水には、それくらいのことしかできない。だから、泉水は朝に夕に、神仏に祈った。自分は確かに世間一般の枠には入り切らぬ人間なのだろう。
それでも、こんな状況になってさえ、泉水は愛する男のために祈らずにはおれなかった。どうか、あの男(ひと)の心が傷つかず、壊れることなく、安らかでありますようにと願わずにはいられない。
今の泉水には、それくらいのことしかできない。だから、泉水は朝に夕に、神仏に祈った。自分は確かに世間一般の枠には入り切らぬ人間なのだろう。