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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第32章 《巻の四―散(ちる)紅葉(もみじ)―》
村長には子どもがいない。従って、妹の倅を養子に迎えている。村長は女房の死後もずっと大切にしていたその形見を、泉水に使って欲しいと譲ってくれたのだ。可愛らしい小さな鏡台を眺めているだけで、沈んだ心も何とはなしに浮き立ってくる。
こんなときは、やはり男のなりが好きでも、中身は女なのだなと、自分でも納得しないわけにはゆかない。
折角貰った姫鏡台だが、目下のところ、朝と夕にほんの短い間、鏡に映して髪を梳くくらいのものである。
こんなときは、やはり男のなりが好きでも、中身は女なのだなと、自分でも納得しないわけにはゆかない。
折角貰った姫鏡台だが、目下のところ、朝と夕にほんの短い間、鏡に映して髪を梳くくらいのものである。