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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第32章 《巻の四―散(ちる)紅葉(もみじ)―》
 篤次が摘んだ実を下にいる泉水が受け取り、籠に入れる。ほどなく、泉水の抱えた籠はギンナンの実でいっぱいになった。更に篤次が集めてきた枯れ枝で火を熾し、たった今取ったばかりの実を串に刺して、炎で焙る。
 直に中の実を覆っていた固い殻が弾け、何とも香ばしい匂いが漂い始めた。その弾けた殻を取り除いた実を、串ごと手に持って頬ばってゆく。ギンナンの実が大好物だという、篤次の愛犬ギンももちろん、二人の間にちょこんと座って、ギンナンをつついている。
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