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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第32章 《巻の四―散(ちる)紅葉(もみじ)―》
 今日は、黒猫の姿は見えない。どうしたものか、ここ十日ほどの間、くろ(のら)は帰ってこなかった。いつもなら、どんなに長く顔を見せなくとも、数日経てば帰ってくるはずなのだ。一体どこに行ったのだろう、まさか野犬に襲われて大怪我でもしたのでは、などと泉水はひそかに案じているのだった。
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