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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第32章 《巻の四―散(ちる)紅葉(もみじ)―》
 泉水は男から逃れて江戸からはるばるここまで流れてきて、今もなおその男の影に怯えて暮らしている。口には出さないけれど、泉水が時折見せる愁いに満ちた表情がすべてを物語っている。そんな女に、これ以上、男として恐怖を与え、怯えるようなことはしたくない。
「良いか、必ずきちんと戸締まりをするんだぞ? 誰が来ても、戸を開けちゃならねえ」
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