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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第32章 《巻の四―散(ちる)紅葉(もみじ)―》
 しかし、寝所に招いても、一向にその気にならない。以前の彼なら、考えられないことである。欲望を満たすだけならば、女なら誰でも良かったのだ。が、今では、泉水でなければ駄目なのだった。たとえ身体は反応しても、泉水以外の他の女を抱く気にはどうしてもなれないのだ。
 結局、寝所に伺候した腰元は顔を見ただけで、そのまま退がらせることになった。
 むろん、その夜はいつもにもまして、鬱々として眠れぬ一夜を過ごすことになったのは言うまでもない。
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