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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第32章 《巻の四―散(ちる)紅葉(もみじ)―》
 ただ一人、残された泉水はそのままの姿で転がっていた。漸く起き上がれるようになったのは夕刻近くなってからのことだった。それでも、少し動いただけで脚腰が悲鳴を上げ、身体の芯に鈍い痛みを感じた。
 昨夜の泰雅はそれほどまでに容赦がなかった。泉水はまるで魂の抜け殻のように虚ろな表情を浮かべていた。どうにか着物を着ると、やっとの想いで身体を引きずるようにして外に出た。
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