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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第32章 《巻の四―散(ちる)紅葉(もみじ)―》
 篤次は泉水に近寄ると、顔を覗き込んだ。
「早まったことだけは考えちゃならねえぜ」
 そう言った刹那、泉水の眼からポトリとひとしずくの涙が落ち、それはすぐに烈しい嗚咽に変わった。まるで、張りつめていた糸がプツンと切れたかのように、泉水はしゃくり上げた。
 篤次は、号泣する泉水を躊躇いがちに抱き寄せた。そうやって、泉水が泣き止むまで辛抱強く待ち続けた。
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