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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第34章 《巻の壱―山茶花の寺―》
今の伊左久は、光照をただ生き仏のようにひたすら崇拝するだけの、ただの一人の信者にすぎない。かつては数多くの大店に押し込みに入り名を馳せた悪党だった男も、長年の寺での穏やかな暮らしに洗われて、今はただの気の好い老爺になっていた。
初めて脚を踏み入れたその日、何故か何の抵抗感もなく、泉水にはむしろ寺が快く我が身を受け容れてくれているように思えたものだ。その親しみやすい印象はそのまま住職の光照の人柄につながった。
初めて脚を踏み入れたその日、何故か何の抵抗感もなく、泉水にはむしろ寺が快く我が身を受け容れてくれているように思えたものだ。その親しみやすい印象はそのまま住職の光照の人柄につながった。