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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第34章 《巻の壱―山茶花の寺―》
慈悲深く、懐広く、救いを求めて訪れた者は貴賤を問わず無条件で受け容れる。それが光照の考え方の基幹をなすものであった。だからこそ、ふいに飛び込んできた泉水をも光照は何の躊躇いも見せず迎え入れたのだ。
光照は泉水に対して何も訊かなかった。どこから来たのかとも、何故、ここに来たのかとも、一切を追及しなかった。
―ここに置いて頂きたいのです。掃除、薪割、水汲み、台所仕事でも何でも致します。どうか、この御寺の片隅になりと置いて頂けませんでしょうか。
光照は泉水に対して何も訊かなかった。どこから来たのかとも、何故、ここに来たのかとも、一切を追及しなかった。
―ここに置いて頂きたいのです。掃除、薪割、水汲み、台所仕事でも何でも致します。どうか、この御寺の片隅になりと置いて頂けませんでしょうか。