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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第4章 《参の巻―囚われた蝶―》
これより少し前、泰雅は泉水の父、勘定奉行槇野源太夫宗俊に対面していた。
―娘が泰雅どののお許しもなく身勝手に当方に返ってきた段、父としてお詫び申し上げる。ひらにご容赦願いたい。
泰雅が日頃の無沙汰を詫び、丁重に挨拶を述べると、源太夫はまずそう切り出した。
―いえ、それは姫が悪いわけではござりませぬ。すべては、私の至らなさゆえでござる。
泰雅は真顔で首を振った。それに対し、源太夫は鷹揚に応えた。