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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第34章 《巻の壱―山茶花の寺―》
村で暮らしていた頃には、小さな仕舞屋ではあったものの、湯殿がついており、毎日の湯浴みができた。だが、今は風呂などに入る贅沢は許されず、時折、人眼に付かぬ場所で行水をする程度だ。
それでも、泉水は今の生活に生き甲斐を見い出していた。夢を持つことで、泉水は自分を辛うじて支えている。ともすれば崩れそうになる自分を懸命に叱咤し、前に向かって進もうとしているのだ。
「本当ですか? でも、きれいになったでしょう」