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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第34章 《巻の壱―山茶花の寺―》
 泉水はその光景を瞼に描いてみる。小さな庵をたっぷりと花をつけた桜が取り巻く光景。さぞや見事なものだろう。伊左久の話を聞いただけで、長い冬を越すのも愉しみになってくる。
 その時、向こうから光照の声が響いた。
「伊左久さん、おせんどの、少し休憩して、お茶にしませんか」
 こうやって光照はしばしば、伊左久や泉水に休みを与え、労をねぎらってくれるのだ。
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