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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第34章 《巻の壱―山茶花の寺―》
光照自ら茶を点て、菓子と共にふるまってくれる。日常に必要な食料品、菓子などは伊左久が時折、山のふもとの村まで降りて求めにゆくのだ。
何故か、光照は泉水を〝おせんどの〟と呼ぶ。恐らくは初めてこの寺に来た時、泉水が例の若衆姿―小袖と袴のいでたちをしていたからかもしれない。あれを見れば、町人ではなく武家の者だと一目瞭然だ。また言葉遣いや立ち居振る舞いなどの所作からも、泉水が伊左久とは違う生まれ育ちであることは判るだろう。
何故か、光照は泉水を〝おせんどの〟と呼ぶ。恐らくは初めてこの寺に来た時、泉水が例の若衆姿―小袖と袴のいでたちをしていたからかもしれない。あれを見れば、町人ではなく武家の者だと一目瞭然だ。また言葉遣いや立ち居振る舞いなどの所作からも、泉水が伊左久とは違う生まれ育ちであることは判るだろう。