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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第34章 《巻の壱―山茶花の寺―》
 伊左久は、庭に自分で建てた、物置のような掘っ立て小屋に起居している。掃除道具一式もしまってある小屋で寝起きしているのは、やはり女性である光照を慮ってのことに相違なかった。
 お茶を頂くときには大抵、光照の居間に移動する。庵主の部屋とはいっても、せいぜいが六畳ほどの座敷で、文机と小さな箪笥があるだけの質素なものであった。
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