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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第35章 《巻の弐―再会―》
夢五郎に出逢ったのは、一昨年の五月の初めのことになる。江戸の町中で夢札を売っていた夢売りの男こそが、この夢五郎であった。あのときは紫と紺の格子縞の女物の着物に男物の細帯、おまけに紺と紫の紐で髻を束ねるという、とんでもない奇抜かつ珍妙ないでたちをしていた。本人いわく〝女には興味がなく、若くて綺麗な男の子だけを相手にしてきた〟とのたまい、何とも怪しい陰間(?)だと、泉水は最初から思い切り退いていたのだが。