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蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第35章 《巻の弐―再会―》
 そんな陵辱を受けた末に、自分は身ごもったというのか。涙が溢れそうになる。つんと鼻の奥がして、泉水は溢れそうになる涙をこらえた。
「私、私」
 泉水は何か言おうとして、言葉を失った。
 余りの衝撃に言葉さえ出ない。
 かつて良人泰雅を心から愛し慕っていた頃、まだ二人が幸せな夫婦だった頃、泉水は誰よりも赤子を望んでいた。泰雅の血を引く子を生みたいと心から願っていたのである。
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