この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
蝶は愛されて夢を見る~私の最愛へ~
第36章 《巻の参―杏子の樹の傍で―》

その日、庭掃除を終え、泉水は久しぶりに近くの川まで水汲みに行った。懐妊してからというもの、伊左久は泉水にけして重い物を持たせようとしなかった。むろん、水汲みも光照から固く禁じられている。その代わりに、伊左久がこれまでのように水汲みに来ていたのだ。
だが、昨日の朝、水汲みに出かけた伊左久が腰を痛めてしまったのである。何しろ伊左久はもう六十を幾つも超えている。元々足腰に痛みを訴えていたというから、無理をしたのがいけなかったのだろう。
だが、昨日の朝、水汲みに出かけた伊左久が腰を痛めてしまったのである。何しろ伊左久はもう六十を幾つも超えている。元々足腰に痛みを訴えていたというから、無理をしたのがいけなかったのだろう。

